Ne timeas, Maria の時代的背景

合唱祭まで一週間を切りました。合唱をやっている身内同士の演奏なのでそれほど緊張感はないんですけど、本番ものびのび歌いたいものです。
今日は”Ne timeas, Maria”を歴史的な背景から調べてみました。
キリスト教音楽の歴史
今回も相変わらず Wikipediaで調べています。やたら詳しく書かれているので、気になった人は読んでおくと良いです。
グレゴリオ聖歌の成立からいくつかの音楽的な変遷を経て、ルネサンス期にはキリスト教音楽は多声音楽の、音楽としての美しさを追求した姿に変化していきました。
その反面、複数の声部が複雑に入り組んだ聖歌は、美しいんですが歌詞が聴き取りづらくなります。そのような信仰を訴えづらい曲が作られていくことは次第に問題になってきたそうです。
そんな中で起こったのが宗教改革です。カトリックは新教への対抗をするために自己改革をする必要がありました。トリエント公会議が行われ、歌詞が不明確な聖歌も問題となって改められることになりました。”Ne timeas, Maria” の作者である TomクJ% Luis de Victoria はこの時代の作曲家で、敬虔なカトリック教徒です。トリエント公会議が終了したのは1563年で、この曲が発表されたのは1572年です。当然何かしているハズと思い、歌詞が聴き取りづらいポリフォニーにどんな工夫をしているのかに焦点を当てて、楽譜を読んでみました。
アクセントを外す


6小節目からの複雑な部分を抜き出しています。青でくくっているのが各声部でのアクセントです。絵で見ると分かるように、各声部はそれぞれ違うタイミングで、場合によっては異なるフレーズを歌っているのですが、言葉のアクセントとなるタイミングはきちんとずらされていることが分かります。アクセントがずれていれば言葉もきちんと聴こえますよね。歌い手はどこをしっかり出すか、どこを他パートに回せばよいか、言葉によって知ることができます。
終止を揃える

24小節目からの部分を例に挙げてみましたが、この曲は終止がホモフォニックになることが非常に多いです。終止に向けて縦を揃えることによって言葉を明確に伝えることができると思います。ずいぶん和声を重視しているんだなと思っていたら、こういう風に表現している文章を見つけて、なるほどと思いました。
ルネサンスの音楽Ⅱ ポリフォニーの完成 | 2010年度「音楽史」西南学院大学
ヴィクトリア (Thomas Luis de Victoria : c.1548 – 1611) は、後に故国に帰りマドリッドの宮廷に仕えますが、師であるパレストリーナの音楽が静的な整った美を標榜しているのに対し (幾分抑制されてはいるものの) 劇的な激しい表現を盛り込むことで独特の作風を得ています。 このドラマチックな表現の故に 「スペイン的」 と形容されることも多いのですが、均整の美学であるルネサンスの枠を越え、ドラマを指向するバロック音楽に一歩踏み出したものとして捉えると尚更興味深いものがあります。
全講義です。ここは本当に勉強になります。他のページですが『ヒューマニズムの追求を芸術面で成就したのがルネサンスであるなら、信仰の側面から追求したのが宗教改革運動、と総括することが出来そうです。』とか、金言がさらっと書いてあったりします。まだ掲載されていない講義内容もありますが、今後も読んでいって深く音楽を理解していきたいと思います。

砂時計 (五つの童画) の詩の解釈

砂時計 … 落ちた時は銀色の魚(うお)になって

夜の海に泳ぐ


合唱祭でも歌う砂時計の詩の解釈です。調べてみましたが、なかなか載っているサイトがないです。曲の解釈なんてとても出来ないので、詩の意味だけでも自分なりに考えてみました。詩の解釈なんて、読んだ人次第なので、基本的に自由だと思います。ただ、書いた自分自身、情け無いことに相変わらず自信がありません(笑)。おかしいところがあれば優しくツッコミを入れてくれると助かります。
タイトルについて
この作品って、誰に向けて書かれた詩なのかが漠然としていますよね。一般的な事実を、俯瞰的に読み取っているように見えます。ただ、自分は作詩者の主観がかなり入っていると思うんです。
作詩者である高田敏子さんは1914年に生まれて1989年に亡くなられました。『五つの童画』は1968年の作品です。三善晃さんがこの曲を作曲するにあたり、高田さんに作詩を依頼したとのことなので、作詩から作曲まで間があったとしても、当時高田さんは50歳代のはずです。50歳といえば今の世の中、これからセカンドライフって人も多いと思いますが、働き盛りの20~40歳代から比べると、これまでの人生を思い返すことも多くなるのではないでしょうか。
この詩では悲しかった事も楽しかった事も、すべて今の自分にとっては過去の事で、もうあの頃にした事をやり直すことはできない、どうしようもない寂しさが表現されていると思うんです。タイトルが「砂時計」の割に、砂時計っていう単語は一度も使われていませんよね。ここには、人生は時が流れ落ちる砂時計のようなものなんだという人生訓と、ひっくり返して時間を巻き戻したいという作詩者の想いが暗喩となってタイトルになっているんじゃないかと自分は感じました。
銀色
この曲で銀色という色は一つのテーマになっています。
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銀色のイメージ | 色カラー
銀色の心理効果
高級、知性、洗練、冷たさ、金属、協調性、機械、未来、
殺菌、才能、雪原、貴重、品質、輝き、シンプル、人工的
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この中で最もストレートに感じるのは『輝き』だと思います。鏡のように、見る角度によって色が変わるとも受け取ることができます。ただ、上に書いたように、今の自分にはどうすることもできない過去の出来事に色を付けているとしたら、無機質で冷たい印象を受けます。そういった意味では“夜”も冷たいイメージですよね。

“うお”です。“さかな”って読むとスーパーで並んでいるような魚を思い浮かべるんですが、“うお”って読むと、まさに生き生きと泳いでいる魚を想像します。上に書いた“銀色”と併せると“銀色の魚”となり、躍動的だけど無機質という、よくできた作り物の魚の姿がイメージできると思います。そのうろこの一枚一枚は記憶で構成されていて、悲しい出来事(水泡)を乗り越えて(喰んで)いる…。その魚は過去の自分で、それを冷静に見つめている今の自分がいる。つまり“銀色の魚”って、今の自分が過去の自分を投影した姿なんじゃないかと解釈してみました。
…と、詩の内容を読みといていたらいつの間にかこの曲が大好きになってしまいました。もともとはあまり好きじゃなかったのに(爆)。
魚と人生って繋がりでビッグ・フィッシュという映画があるんですが、その内容を思い出しました。ティム・バートンの変な世界観についていけるかたには猛烈にオススメします。感動で泣けます。
とりあえず予告編を置いておきますね(´・ω・`)

ブレスのこと

今年は課題曲がルネサンス曲ということもあり、練習のなかで個人アンサンブルをする機会も多いと思います。これって別に度胸試しとかいうわけではなく(そういう観点もありますが)、「ひとりひとりが優れた歌い手であり、そういう人達が集まった合唱を演奏したい」という創団当初からの信念の顕れだったりします。ひとりひとりの歌を聴いていると「この人、ここの音程がいい」とか「表現力あるな~」とか、日ごろ一緒に歌っていると分からない、意外なことが分かったりしますよね。そんな個人アンサンブルでは避けては通れないブレスの問題について調べてみました。
声を出す仕組み
基本的な事として、声を出す仕組みについて確認します。声は呼気が声帯を通過することで生じます。声帯は伸縮させることによって音程の高低を制御することができます。この内容の詳細については以下のサイトが詳しいです。
声帯と声の関係 | 吟詠の為のボイストレーニング
なので、ブレスの勢いが足りていないと、そもそも十分な声量を出せません。声量が足りていないと、正しい音程でも個人アンサンブルではハモったように聞こえません。また、パート同士の音が聞こえないとピッチが狂っていくことが多いと思います。
でも肺活量の低い人って、声量を出そうとするとすぐに息が持たなくなりますよね。
ブレスを増やす
調べるまで、この辺りを勘違いしていました。「肺活量って個人差があるからな~」と思っていました。
9なぜ腹式呼吸が必要? | 声の豆講座
よく私は肺活量が少ないからだめなんですぅ、とおっしゃる方がいますが関係ないです。そもそも肺の大きさにそんなに差があるわけじゃないですから。肺活量が少ないということは、呼吸が下手ということなんですね(^_^;)。だから大丈夫、肺活量は多くすることが出来ます(^^)。
確かに言われてみれば、肺の大きさに個人差がメチャクチャあるわけがない。問題なのは姿勢と筋肉の使い方なんですよね。
姿勢を良くする
良い声を出すためには絶対に必要です。練習の最初に当たり前のようにやっていますが、歌う際に、本当に正しい姿勢になっているかチェックする習慣はつけておきたいところです。
姿勢を良くする簡単エクササイズ2つ | 烏は歌う
後ろ姿に自信を!正しい姿勢とは #02 | 東京ナイロンガールズ
チェック法は背中を壁にできるだけぴったり付けること。胸が前に出ていると胸郭に十分な呼吸が入っていきませんし、腰が前に出ているようだと特に背中が膨らんでいきません。
筋肉を使う
個人的に最大の収穫でした。腹直筋しか使っていなく、腹斜筋を使ってなかったんですね。腹斜筋ってなに?って人は同じサイトの以下のエントリーを参照。
腹から声を出す!
腹から声を出す!その2
いや本当にブレスが伸びてビックリしました。その2で紹介されているボイトレ的腹筋トレーニングは毎日、通勤中の車の中でやっています(笑)。ブレスが伸びるから何?っていう話もありますが、息に余裕ができることで曲の一つ一つのフレーズを楽に歌うことができますし、ロングトーンでの支えもしっかりしたと感じています。自分にこんな基本的なところで伸び代があるんだと実感できました。
合唱って、初めてやるときは歌い方をイメージで伝えられることが多いので、こういった勘違いとか見落としをこれからもできるだけ見つけていきます。

暗譜について

前に書きましたが、合唱祭は暗譜と指揮者から命じられましたね。Wikipedia では暗譜についてこう書かれています。
基本的には楽譜表記を覚えることにあるが、単純に丸暗記という手段では暗譜能力の向上は望めない。楽譜を理解する能力、つまりソルフェージュ能力が必要であり、ソルフェージュ能力に長ける者はそれだけ暗譜スピードも速い。つまり耳を使う(聴力ではない)ことが第一である。そのため、目で見て覚えられるということは少ない。
最初から楽譜を理解する能力を持っている人はなかなかいないと思います。練習のメモを読み返したり、他のパートの歌い方を聴いたりすることで、曲全体のなかで、なんでここはこう歌うのか、情景を自分なりに理解することが重要だと思います。
これまでの自分の経験と、今回いろいろ調べてみた結果から、暗譜の長所・短所について書いてみます。
暗譜の長所
楽譜という『目に見えるもの』を頼りに音を出すことができなくなります。楽譜って目に見えるんですが、絶対音感の持ち主でなければ、楽譜通りの音を出せません。相対音感はそこまで難しくないんですが、楽譜を見ていると周りの音をなかなか意識できないんですよね。
だから暗譜をして、これまで以上に自分の出している音や、周囲の音に対して注意を払うようになることは音程の安定に繋がります。あと、指揮者を見るようになるので、リズムも安定するようになります。
暗譜の短所
日ごろの練習で楽譜に書き込んでいることが読めなくなってしまいます。楽譜に書き込んでいることって、歌ううえでのノウハウがほとんどですよね。学術的には以下のように定義されるそうです。
宣言的記憶
楽譜でいう音符や音の強弱。言葉で表現できる記憶。伝えやすい。
手続き記憶
いわゆる技能やノウハウ。伝えにくいが、意識しなくとも使うことができる。
例えば、初めて車とか自転車を運転するときってものすごく難しいですが、何度も運転を繰り返すうちに、ほとんど無意識に運転できるようになりますよね。同じように、楽譜に書き込んだ発声や表現方法などのノウハウは、正しい歌い方を意識して繰り返すことによって、そのうち無意識にできるようになります。ところが、それを習得しないまま暗譜をしてしまうと、自己流の歌い方になってしまい、せっかく練習でつかんだ歌い方がふいになってしまいます。
ひょっとすると、暗譜で歌うということが合唱祭の目標みたいに思えてしまうかもしれません。ですが、自分にとって暗譜は、なるべく早い段階で「きちんと楽譜を理解する」「正しい歌い方を身につける」きっかけとなる、有効な手段だと感じています。

5/29 の練習

課題曲を頑張って練習して、満を持して練習に参加しました。
出てみれば当日は自由曲の練習でしたよ(´・ω・`)
あるよねー(涙)。
…というわけで、この日は自由曲『砂時計』の練習でした。



全体を通じ、指揮者からしつこく言われ続けたことは以下の3点です。
①アルト/ベースのパートソロ『ときはおちる』が上付いている
②弱声(p,pp)の入りを押したり引きすぎたりしない
③リズム、特に裏拍が溜められず前のめりになる
しつこく言われ続けるということは、大体の場合、曲の特定の箇所だけ気をつければよい問題ではなく、本質的に歌い方の修正を顧みなければいけない問題だと思います。
①は最後に指揮者から「下顎を下げて(=喉仏を下げて)」歌うように指示されてトレーニングすると改善しました。自分も含めて高音で喉仏が上がっちゃっています。低声の人って、なんとなく下顎が開いているイメージがあるんですけど、高音になると軟口蓋の意識はあるんだけど、喉仏がそっちのけになっちゃうんですね。気をつけます。
②は指揮者から息の支えと言われ続けました。息の支えは腹式呼吸においては腹筋の支えですので、弱声の入りが上手く出来ないということは腹筋がうまく使えていないということだと思います。この辺りは今後、書いていきたいと思います。
③について。
テンポ感が掴みにくい人は、テンポ感が問題になった場合には指揮者を見たり、他パートとの連携を意識するべきだと思います。楽譜に噛り付くのはかえってマイナスです。
自分のテンポ感は物凄くヘボいです。これでもだいぶましになった方ですが、時計の秒数を見ずに1秒,2秒,3秒…と数えていくのも、1分経ったら10秒単位でずれる自信があるくらいヘボいです。そんな自分なので、細かい音符がたくさんあるところは走ってしまいますし、長く伸ばすようなところは逆に遅れがちです。
テンポ感は今後、鍛えていかなければならないのですが、現時点ではなんともならない。なので、テンポ感の基準は他に求めます。それが指揮者であり他パートです。他力本願なのですが、なんともならないことは割りきって、自分のできる最高の歌を歌うということも重要だと思います。
それと、合唱祭は基本的に暗譜ということみたいです。この時期でコンクール曲を暗譜って、割と前代未聞なんですが、暗譜のコツとかも今後触れていこうと思います。

胸声を出す

胸声の出し方について、頭声を出している人向けのやり方を調べてみました。今回は、下記のサイトで紹介されている発声法の紹介と、やってみた感想です。
胸声の練習-1 | 吟詠の為のヴォイストレーニング
胸声の練習-2 | 吟詠の為のヴォイストレーニング
胸声の練習-3 | 吟詠の為のヴォイストレーニング
発声法について
①頭声を出す口の形(軟口蓋は上げて、喉仏は下げた状態)で、ハミングでファルセットを出し、下図で示した喉の奥、鼻の付け根を響かせる。


②地声の、喉を押さない程度の低音でハミングをし、①のポイントを響かせる。
③”ア”とか”オ”の開いた口で②の低音を出して、①のポイントを響かせる。
これが上手くいくと、頭声の口の形・息の流し方できれいな胸声が出せます。
やってみた感想
・ポイントは『頭声の口の形・息の流し方』、これが崩れると絶対に良い声になりません。響きの位置だけ変える意識を持つことが重要です。
・低声なので、首・喉・舌に力が入りやすいです。個人的な対策としては『首を振りながら出す』が最も効果的でした。人によっては肩甲骨辺りが張ってしまう人もいると思います。
・頭声ができない人は発声法①の感覚が掴みにくいかも。例えこの発声ができるようになっても、高音で張ってしまうので、まず頭声をできるようにしてからのほうが良いと思います。
・サイトにも書いてあるように、練習は弱声でやったほうが良いと思います。口の形が変わりやすいのと、喉を痛めやすいためです。
・同じく響きを本当に鼻に入れてしまわないよう注意。チェック法は『鼻をつまんで響きが変わるかどうか』。変わるなら鼻声になっています。
やってみたあと
ブレイクポイントより上(下)の位置からロングトーンで音を下げて(上げて)いき、頭声と胸声の繋がりを自然にさせる練習をしています。イメージとしては、いきなり頭声・胸声を切り替えるわけではなく、ブレイクポイントの辺りで頭声・胸声の出し方を混ぜていった方が、響きの連続性が出て良いと思います。
最後に
合唱と吟詠って『えっ!?』と思われる方はほとんどですよね。実際、自分も最初はそう思いましたが吟詠音楽講座の中身はどこでも通用する基本的な発声法の解説です。吟詠って凄く日本の伝統芸能的なイメージ(Wikipedia)を持っていたんですが、伝統芸能で良い声を出すことが理論的に解析されていて、それを頑張って伝えようとしている人がいるってことを教わりました。

頭声と胸声について

前回ブレイクポイントについて書きましたが、ブレイクポイントを超えたらそれまでの頭声・胸声での出し方を変えなきゃいけない。特に普段、頭声で歌っている人は『高い響き』を求められているだけに胸声で歌うことに抵抗があるかもしれませんが、かえって胸声で低音が楽に歌えることによって、ピッチが安定したりします。胸声には胸声の歌い方があるんですが、まずは曲を聴くことで胸声のイメージを掴んでいきたいと思います。
胸声の特徴
Wikipediaによると、胸声はいわゆる地声とは似ているけど違うと書いてありますが、歌ってみたりしても地声との違いが良く分からないことが多いと思います。こんな胸声ですが、トレーニングすれば立派な音色が出るようになります。


絢香のほかにも中島みゆきとか吉田美和のように、トレーニングされた胸声は頭声に対して『充実した音色』『迫力のある声』のように聴こえることが多いです。それは言い換えると『太い音色』『押しの強い声』となり、合唱ではとたんにハモらなくなるデメリットと成り得る事は、胸声で歌う際に心に刻んでおきたい項目の一つです。
頭声と胸声
男声ボーカリストで胸声の良い声といえば福山雅治だと思います。

息を混ぜることによって柔らかさを出し、特に押しがちな低音・高音を嫌味な音色で無くしています。これは合唱でも頭声と胸声のつながりで、響きの一体感を出すために重要な技術になると思います。
同じSquallのカバーで歌っているのはaiko。

微妙なところもありますが、ラジオ生収録と考えればメチャクチャうまいです。サビの部分で頭声と胸声を行ったり来たり切り替えていることがよく分かると思います。胸声をマスターすることで、このように扱える音域が広がるのは大きな利点です。
おまけ
普段胸声で歌っている人や、頭声でも高音まで届かない人って、カラオケに行ってもなかなか歌える曲が無いんです。無理して高い音域の曲を選んで音程を外しまくった過去をもつ低声系の人は自分だけじゃないはず(涙)。そんな人や、この記事を読んで胸声に興味をもたれた方におすすめのサイトです。
~めくるめく低声ワールド~
低音域の楽曲 | 音域データ! @ ウィキ ~この曲の最高音はどこ?~
低音域の楽曲 (女声版) | 音域データ! @ ウィキ ~この曲の最高音はどこ?~
個人差はあれど、貴方にぴったり合った胸声で歌える曲が見つかれば幸いです。昔は自分の持ち歌に出会うために本当に苦労したんですが、今ではここをはじめインターネットで探せるんですよね。良い時代になったとしみじみと思います。

音の跳躍をうまく歌う

音の跳躍するところって難しいですよね。今年の課題曲である”Ne timeas, Maria”は低音から高音へ跳躍する箇所が多いので、どうやったらうまく歌えるかトレーニングしてみました。今回はあえて子音・母音は無視で“オ”とか“ア”でトレーニングしています。
なぜ難しいか
トレーニングにあたり、なぜ跳躍が難しいか考えてみましたが『口の中の形が変わる』ということが大きいと思います。低音を出した口の形で高音を出せないので、口の形を変えようとするのですが、時間が足りない。その結果として出てくる音は、喉が締まった喉声だったり、暗かったり、逆に高音を出す口で低音を出そうとした結果、引いたような音になったりしていると思いました。
ブレイクポイントを把握する
男の人で、合唱をやりたての人であれば地声で歌っている人がほとんどだと思います(自分もそうでした)。そういう人が「ドレミファソラシド…」と音程を上げていくと声が裏返るところがあります。そこを換声点とかブレイクポイントと呼ぶそうです(Wikipedia)。まずは自分たちのブレイクポイントを調べてみることにしました。その結果、自分は下の“シ~ド”、奥さんは上の“ラ~シ”の辺りがブレイクポイントだと分かりました。なぜここがブレイクポイントかは後述します。


ブレイクポイント

ブレイクポイントからみた難所
ブレイクポイントを知ると、課題曲のなかでどこを例にとってみればよいか分かります。自分は38小節目のオクターブ上がるところ、奥さんは8小節目の入りです。
   

ブレイクポイント付近の声を克服する
今回のトレーニングと、昔、自分が胸声(地声)で歌っていた経験を踏まえて、症状別にこうしたらみたいな練習法を書いてみます。
・跳躍前の低音がブレイクポイントの人
自分と奥さんがこれです。日ごろ頭声(頭の後ろ側から息を流して出す声)で音を出している人は、頭声で頑張って低音まで出そうとするんですが地声になっちゃいます。駄目なパターンとしては『跳躍前の低音を意識しすぎる』→『跳躍前の低音が暗くなりすぎる』→『引きずられて跳躍後の高音も暗くなる』が多いと思います。なので、跳躍後の高音を出してから跳躍前の音を出し、ピッチの高い低音を出す感覚を掴むと改善します。あと無理して首周りに力が入っていることが多いので脱力することも重要です。
・跳躍後の高音がブレイクポイントの人
日ごろ胸声で歌っている低声系の人や、合唱やりたての男声の多くがこれに当たると思います。自分もそうでした。駄目なパターンとしては『ブレイクポイントで軟口蓋が上がっていない』→『喉の締まった喉声になる』が多いと思います。なので、対策としては低音も軟口蓋を上げて歌うことが重要です。どうしても高音を出すときに押してしまう・喉が詰まってしまうという人は、「喉を開く」について、再度まとめ | 烏は歌うにあるように、首を左右に振りながら歌って首の力を抜くとか、あえてハスキーな声を出して息を流す感覚を掴むと良いと思います。
克服した後に
ブレイクポイントが存在する箇所の跳躍をうまく歌えるようになっても『ブレイクポイントを飛び越える跳躍はどうするのか』という問題が残ると思います。自分はブレイクポイントが大分低音なので、あとは頭声で歌えばよいのですが、奥さんは例えば最初の出だしなんか凄く苦手です。

この辺の声をうまく出す技について今後トレーニングしていきたいと思います。

NHKコンクール課題曲が凄い

今年のNHKコンクール中学生課題曲は「I ♥ ×××(アイ・ラヴ)」(大塚愛)なんですね。「手紙」・「YELL」に続く有名アーティスト作曲の第3弾で、NHKも本気で取り組んでいるんだと思います。
Nコン2010 | 課題曲
課題曲JukeBoxで昔の課題曲も聴けます。
自分が中学生の頃を思い返すと、文化祭とかで歌う曲は「大地讃頌」とか昔から決まりきった曲が多いせいか、合唱って音楽としては割と終わったジャンルって思っていました。こういうような取り組みを通じて合唱音楽が活性化していっているのかな、と少し思います。
あと、メディアミックスなのかその辺りの都合は分かりませんが、「I ♥ ×××(アイ・ラヴ)」自体は8月のみんなのうたから放送されるんですね。だからコンクールまではどの学校もこうしたら良いという教科書的な答えが無いんです(ひょっとしたらこれが目的なのかしれませんが)。ポップスの合唱って原曲を意識しながら歌う所が大きいと思うのですが、これは凄いと思いました。Wikipediaによると、こんなエピソードもあります。
* 中学校の部:「手紙」(混声・女声3部合唱)
作詞・作曲:アンジェラ・アキ 編曲:鷹羽弘晃
「課題曲をうたおう」にて中学校の部の課題曲「手紙」(混声3部合唱)の途中で手拍子が入るが、楽譜には特にそのような指示は無く、合唱指揮者の雨森文也が自らの考えで入れたものであった。手拍子は採点対象外なので入れるか入れないかは自由。

単なる競技としての合唱コンクールではなく、生徒にいろいろと考えさせて表現をさせる場になっているんだな、と本当に感心しました。
去年と一昨年の課題曲の演奏。



去年のNHKコンクールで指揮者が泣けるくらい感動したと書いてましたが、団体は違えどこりゃ泣けるわと思いました。今年は機会があればブロック大会に行ってみようと思います。

5/22 全体ボイトレに向けて

次の練習は全体ボイトレですね。
なんとなくですが、心がけみたいなものを書いておきます。
自分の課題を見失わない
前に書きましたが、個人ボイトレに対して、全体ボイトレでは個人の実力は大して上がらないと思っています。なぜなら合唱団の課題はほとんどの場合、個人の課題と異なるからです。
まず全体ボイトレでは普通、トレーナーは一般的な解決法をとることが多いです。合唱団としての質を上げるために当然の手段なんですが、少数派な人はやっても良くならないか、ひどい時には悪くなる可能性があります。ピッチが上めな人が、パート全体としてはピッチが下がり気味なためにトレーナーから「もっとピッチ上げて」と言われて上ずりまくっているとか。
そして、トレーナーは聞こえる音に対してトレーニングをするので『声の小さい人』や『音域に届かない人』はトレーニングしようがない。なんか指摘されたけど、自分はこの音域だせないから…って、個人ボイトレでは逃げられないんですけど、全体ボイトレでは逃げられるんですよね。
こういった『合唱団の課題』と『個人の課題』を混同しないためには、まず『個人の課題』を認識することが重要だと思います。
もし課題曲のある部分で、トレーナーに言われた事が自分の課題と一致するなら、課題を克服することで曲を良くしていかなければいけない。一致しないなら、問題が無いのか聞こえていないのか、どちらかを判断して、聞こえていないと思ったら、今の時点では積極的に音を出してもらいたいと思います。コンクール間近では音を出さずに人に任せるっていうのも重要な技になるんですが、今だったらチャレンジしてもいいと思うんです。
中村貴志の技を盗む
中村先生は公式ホームページに書いてあるとおり音楽家です。
Wikipediaによると音楽家は
音楽家(おんがくか)、ミュージシャン(musician)は、曲を作ったり(作曲)、演奏したりする人のこと。
というわけで、自分の定義では中村貴志は合唱指揮者で編曲者で声楽家です。
普通、合唱団の前に立っている人は指揮者で、実際に中村先生はGoogleによると、愛知県を代表される合唱指揮者なんですが、プロ声楽家でもあります。うちらは練習の最初に姿勢を作って、呼吸法をして、ハミングして、発声してようやく練習に臨むのですが、中村先生は日常会話からして歌うときの発声をしているから凄い。
合唱ではよく『上手い人の横で歌うと上手くなる』といわれます。中村先生が課題曲をどう歌うのかをよく聴いて、発声法や表現の仕方とかを真似するだけでも上達するきっかけになるのではないかと思います。
…と、伝えたいことを書きまくったんですが、実は5/22 全体ボイトレに行けません(涙)。本当に行きたかったんですが物凄く重要な予定が入ってしまったので泣く泣く欠席します。5/29の練習に参加しますのでよろしくお願いします。