Ne timeas, Maria の時代的背景

合唱祭まで一週間を切りました。合唱をやっている身内同士の演奏なのでそれほど緊張感はないんですけど、本番ものびのび歌いたいものです。
今日は”Ne timeas, Maria”を歴史的な背景から調べてみました。
キリスト教音楽の歴史
今回も相変わらず Wikipediaで調べています。やたら詳しく書かれているので、気になった人は読んでおくと良いです。
グレゴリオ聖歌の成立からいくつかの音楽的な変遷を経て、ルネサンス期にはキリスト教音楽は多声音楽の、音楽としての美しさを追求した姿に変化していきました。
その反面、複数の声部が複雑に入り組んだ聖歌は、美しいんですが歌詞が聴き取りづらくなります。そのような信仰を訴えづらい曲が作られていくことは次第に問題になってきたそうです。
そんな中で起こったのが宗教改革です。カトリックは新教への対抗をするために自己改革をする必要がありました。トリエント公会議が行われ、歌詞が不明確な聖歌も問題となって改められることになりました。”Ne timeas, Maria” の作者である TomクJ% Luis de Victoria はこの時代の作曲家で、敬虔なカトリック教徒です。トリエント公会議が終了したのは1563年で、この曲が発表されたのは1572年です。当然何かしているハズと思い、歌詞が聴き取りづらいポリフォニーにどんな工夫をしているのかに焦点を当てて、楽譜を読んでみました。
アクセントを外す


6小節目からの複雑な部分を抜き出しています。青でくくっているのが各声部でのアクセントです。絵で見ると分かるように、各声部はそれぞれ違うタイミングで、場合によっては異なるフレーズを歌っているのですが、言葉のアクセントとなるタイミングはきちんとずらされていることが分かります。アクセントがずれていれば言葉もきちんと聴こえますよね。歌い手はどこをしっかり出すか、どこを他パートに回せばよいか、言葉によって知ることができます。
終止を揃える

24小節目からの部分を例に挙げてみましたが、この曲は終止がホモフォニックになることが非常に多いです。終止に向けて縦を揃えることによって言葉を明確に伝えることができると思います。ずいぶん和声を重視しているんだなと思っていたら、こういう風に表現している文章を見つけて、なるほどと思いました。
ルネサンスの音楽Ⅱ ポリフォニーの完成 | 2010年度「音楽史」西南学院大学
ヴィクトリア (Thomas Luis de Victoria : c.1548 – 1611) は、後に故国に帰りマドリッドの宮廷に仕えますが、師であるパレストリーナの音楽が静的な整った美を標榜しているのに対し (幾分抑制されてはいるものの) 劇的な激しい表現を盛り込むことで独特の作風を得ています。 このドラマチックな表現の故に 「スペイン的」 と形容されることも多いのですが、均整の美学であるルネサンスの枠を越え、ドラマを指向するバロック音楽に一歩踏み出したものとして捉えると尚更興味深いものがあります。
全講義です。ここは本当に勉強になります。他のページですが『ヒューマニズムの追求を芸術面で成就したのがルネサンスであるなら、信仰の側面から追求したのが宗教改革運動、と総括することが出来そうです。』とか、金言がさらっと書いてあったりします。まだ掲載されていない講義内容もありますが、今後も読んでいって深く音楽を理解していきたいと思います。

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