“Ne timeas, Maria” の解説をしているサイトが無いかとずっと探していたんですが、全然無いんですね。唯一見つけたサイトは英語でした(涙)。頑張って翻訳したので、ヘボいのを見逃していただき、間違っていたら優しく突っ込んでいただけると助かります。
http://www.answers.com/topic/ne-timeas-maria-motet-for-4-voicesの訳
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天使に触れられることは素晴らしいという20世紀のイメージとは逆に、聖書では天使の訪問は恐怖を想起させました。しばしば、天使は最初に「怖がらないでください!」と言ったに違いません。だから、乙女マリアの前に現れた大天使ガブリエルは “Ne timeas, Maria.” と話し始めます。
このルカ書(1:30-32)による詞はマリアへのお告げの祝日(3月25日)に、第2晩鐘のための応答歌として、カトリック教徒の礼拝式を誇らしげに飾ります。この詞はトマス・ルイス・デ・ビクトリアの最初のモテット集(1572)で喜びに満ちた4声の曲として公表されました。
この典型的な対抗改革期の作曲家は、1605年のレクイエムやテネブレレスポンソリウムに見られるように、深いカトリック信仰・純潔性への献身・物悲しい響きで知られています。しかし、このモテットは違った角度でこの作曲家を照らしています。彼はお祝いの名目として受胎告知を扱いました。彼は明るいイオニアンスケール(Cメジャーに変換されている)をこの曲に選んでいます。この調は他に “Missa Trahe Me, Post Te” しか使われていません。初めの句では、8声の “Ave Maria” のように、最高位の声部の “Ne timeas” がグレゴリオ唱歌の上昇表現を引用しています(この4度の上昇はこのモテットの中ではしばしば出てきます)。
この作品の約3分の2に達した場面で、すべての声部が半終止になり、全休止となります。そして詞の続きで、天使がマリアのお腹の子は「いと高きお方の御子」と啓示する際に、強い色彩の和音の入りから直接モテットの頂点に導かれます。
“altissimi”では、各声は高い音への跳躍をします。ソプラノでは、この跳躍は4度の一般的なものから5度に広がり、そしてこの作品中の最も高い音程に到達します。この表現は一般的な手段かもしれませんが、ビクトリアの手によっては、ソプラノは最後のカデンツに向けて徐々に緊張感からの開放が続き、生き生きとしたアーチをお祝いのモテットに与える下3声の中で次第に消えていきます。
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技術的な内容が入った文章を翻訳するのは本当に難しいです。読み手に対して『この人は書き手の伝えたいことを理解しているんだ』と思わせるくらいの、読む力も書く力も不足した文章ですが、まあ頑張ったのでヘボいのを(以下略)。訳していたなかで色々と調べ物をしたのですが、そこで分かったことを紹介したいと思います。
・訳していて分かったこと、その①
イオニアンスケールを知りませんでした。検索すると色々出てきますが、元は教会旋法のことです。教会旋法って、はるか昔に聞いたことがあったような気がするけど忘れてました。やっぱりWikipedia が詳しいです。これを読めば一部の方はアンコンでやった”Super flumina Babylonis”の終止形がなぜ『フリギア終止』っていうか良く分かります(知っとけば良かった)。というわけで参考ページです。以下のページを読んでおくとルネサンスがより楽しくなると思います。
教会旋法の基礎
http://www.mab.jpn.org/lib/exp/cmodes/basis.html
教会旋法(church mode)の試聴
http://www.animato-jp.net/~se/scale.html
・訳していて分かったこと、その②
半終止を調べていて面白いサイトを見つけました。半終止というのはWikipediaに書いてある通り“Vの和音(ソ・シ・レ)で終止するもの。ある程度の区切り感はあるが、終止感は全くない。小さな段落の終わりに用いられる。”という和音です。半終止かどうかを聞き分ける練習問題が音楽検定の4級にあるのですが、他の問題もあわせてけっこう面白いです。3級以上は練習問題が無いので分かりませんが、自分の音楽に対する理解力を楽しみながら向上させる良いきっかけになるのではと思います。
「練習」カテゴリーアーカイブ
2010 G1:Ne timeas, Maria の背景 (2)
ちょっと脱線しますが、練習でルネサンス期・ゴシック期の作風について指揮者から話されることがたまにあります。作風について理解をして演奏することはなかなか難しいのですが、ちょうど今回演奏する “Ne timeas, Maria” の情景である『受胎告知』の絵画の変遷について紹介されているページがありましたので紹介します。「受胎告知」の変遷 ルネサンスからバロック風へ


同じ題材でこんなに表現が変化するんですね、人々の価値観が変化していった激動の時代です。歌も絵画と同じように、成立した時代背景を理解することで価値を上げていこうと思いますので、こういったことを調べて面白いものがありましたらどんどん紹介していきたいと思います。
*今回紹介した方は他の記事も面白くて読んでたんですが、最近更新されていないのが気になっていたら、亡くなられていたそうです。ご冥福をお祈りします。
2010 G1:Ne timeas, Maria の背景 (1)
今年のコンクールでは課題曲として G1 : “Ne timeas, Maria” (Tomas Luis de Victoria)を演奏します。普段の練習では音楽の質を向上させようと頑張っているんですが、音楽が成立した背景や詞の内容について深く理解しようと調べてみました。
【詞の内容について】
歌詞について調べてみると、ルカによる福音書 1:30-1:32 によるということが分かります。引用元 : Wikisource
御使が言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。
見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。
彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。
ルカによる福音書のこの辺りの情景は『受胎告知』というそうで、Wikipedia ではその内容がさっくりと書かれています。
受胎告知(じゅたいこくち)はキリスト教の聖典である新約聖書に書かれているエピソードの1つ。聖告(せいこく)、童貞聖マリアのお告げ、生神女福音(しょうしんじょふくいん)とも言う。一般に、処女マリアに天使のガブリエルが降り、マリアが聖霊によってイエスを身ごもることを告げ、またマリアがそれを受け入れることを告げる出来事。
淡々と書かれているわけですが、実際にどんな情景だったかと調べてみると、教会ではこのように説かれるようです 。以下、国立のぞみ教会説教要約より。
いわゆる「受胎告知」と呼ばれる場面である。天使ガブリエルは神にマリアのもとに遣わされ、「おめでとう(Rejoice)、恵まれた方。主があなたと共におられる」とあいさつをした。しかし、言うまでもなく、婚約者ヨセフの知らないところで妊娠するということは「喜びの知らせ」というものではなく、悲劇的な告知であり、理解しがたい知らせであった。
こういうモテットはラテン語の歌詞なので、言葉の意味も良く分からず、背景となるキリスト教の物語も知らないので、淡々と歌いがちなのですが、調べてみるとこういったドラマチックな情景なんですね。
【作曲者について】
Tomas Luis de Victoria (トマス・ルイス・デ・ビクトリア)は後期ルネサンス期の作曲家で、やはり Wikipedia で詳しく書かれています。
ビクトリアは対抗改革期のスペインで最も重要な作曲家であり、後期ルネサンス においては最もすぐれた宗教音楽の作曲家である。ビクトリアの作品は20 世紀に復活を遂げ、近年たくさんの録音が制作されている。数多くの評者がビクトリア作品に、神秘的な烈しさと、直接に感情に訴えかけてくる特質を認めている。これらの特徴は、見方によっては、ビクトリアの偉大な同時代のイタリア人、パレストリーナの作品には見当たらない。パレストリーナ作品は、技術的には申し分ないが、情緒的には超然としているからである。
引き合いに出されているパレストリーナがちょっと可哀そうな感じですが、個人的にはどちらの曲も素晴らしいと思います。対抗改革は、ルターによる宗教改革の反動・反省で発生したカトリック教会内での改革で、教義と信仰の見つめ直しを行ったのですが、その辺りもやはり Wikipedia が詳しいので気になる方は調べてみると良いかと思います。
コンクール練習、その後中村先生との打ち合わせ
現在、VoxMEA ではコンクールに向けた練習を行っています。
コンクールは以下の曲で臨みます。
【課題曲】
G1:Ne timeas Maria (Tomas Luis de Victoria)
【自由曲】
合唱組曲「五つの童画」より Ⅳ.砂時計,Ⅴ.どんぐりのコマ (三善 晃)
この日は “Ne timeas Maria” と “どんぐりのコマ” を練習しました。

課題曲の練習では指揮者をちょっぴり怒らしてしまいました。『曲の入りがブレる』・『フレーズの切り際が悪い』等々、別に悪気があってやってるわけでは無く、技量が無いためでもあるのですが、曲に対する集中力が欠けていたというせいもあったと思います。実際、指揮者の話を聴き逃していたこともあったし、普通にやり直すと出来るようになったりしたし。多分指揮者も分かって、集中力を無理やり高めるためにちょっぴり怒るという手段を採ったハズなので、今度からはより集中して臨もうと思いました。

この日はゲストとして団員夫婦の赤ちゃんも参加しました。”どんぐりのコマ” の fff (=絶叫) を聴いても泣かなかったな~。
練習後は中村先生と食事兼打ち合わせ。来年(再来年?)に予定されている中村先生プロデュースのイベントについて話をし、VoxMEA も参加させていただくことになりました。まだ企画段階なので、具体的な日程や内容は未定ですが、大体のイメージは固まったので、そろそろ委員会を立ち上げようという話にまとまりました。
春合宿

ちょうど桜の時期に合宿を行いました。

練習はコンクール自由曲である三善晃作曲“五つの童画”より『砂時計』・『どんぐりのコマ』の基本的事項の確認、音取り、アンサンブルを中心に行いました。
結構難しい2曲の初練習でしたが、参加者の集中力が半端なかったせいか、この2日間の練習でかなり煮詰めることができました。2,3年前のコンクール直前合宿くらいの緊張感があったように思います。
今年の合唱祭ではこの『砂時計』も演奏するんですね。いつもは力を抜いた選曲でしたが今年はガチンコモードで、同じ愛知県で合唱をやっている方々に対して、十分に披露するレベルの演奏をできるんじゃないでしょうか。
…なんて大口を叩いてしまいましたが、コンクール県大会に向けて、例年より充実した演奏をしていけるんじゃないかと、とても楽しみです。
公開録音・アンコン・コンクール
VoxMEA の近況をまとめて書きます。
VoxMEAはただいま3/20の公開録音に向けて “Jesu, meine Freude of Motetten : BWV227” (イエス、我が喜び) の追い込み練習をしています。

当日、指揮をされる中村先生もVoxMEAが公開録音で最高のパフォーマンスができるよう、2月からほとんど毎週のように指揮・ボイトレに来てくれています。
愛知県ヴォーカル・アンサンブル・コンテストが4/18にしらかわホールで行われます。
今年も混声2団体がそれぞれの目標を持って最優秀を目指します。
去年のアンコン結果&反省はこちら。
時計の針を巻き戻してみると、去年は本当に『悔しいですっ!』の演奏でした。今年は去年の反省を活かした上で、より良い結果を残そうと頑張っています。
そういえば、去年のアンコンで春日のコスプレをした人がVoxMEAにいるんですが、春日は今年も頑張っていますね。当人は今年もコスプレしてくれるんでしょうか。

PRタイムで春日登場
委員会で自由曲が決まりました。
三善晃作曲“五つの童画”より『砂時計』・『どんぐりのコマ』です。“五つの童画”からは『風見鳥』を2006年にコンクールで演奏し、中部大会で銀賞を受賞しています。そのときの演奏はコチラ。第3回演奏会でも歌っていて、それは過去の演奏にありますので、そちらをご参照ください。
まとめて書いてみると色々ありますね。
Bachはほぼ初めての取り組みで、アンコンは去年の雪辱、コンクールは4年前以上の演奏をと、いろんな観点で合唱を楽しんでいるのがVoxMEAの面白いところだと思っています。
Jesu meine Freude
11月の中学校招待演奏から来年(もしくは再来年)の演奏会に向けて
「イエス、我が喜び」の練習を行っています。
演奏会はかなり先なのですが、曲のせいもあるのでしょうか、
毎回の練習は楽しくかつ緊張感があり音楽を積み重ねていると感じています。
3月20日には港文化小劇場で「イエス、我が喜び」の全曲録音と
それまでの練習と録音までを公開で行いたいと思います。
演奏会がかなり先のため、公開しますが
演奏そのものは色々と至らぬところも
たくさんあるかもしれませんが、それも含めて
今のVoxMEAの素の状態を見て、聴いて頂き、
率直な感想を頂ければ、それはそれで
今後のためになるかと思い公開で行うことを考えています。
これまで2回の公開録音とは違い、今回は中村先生の
指導によりますので、その指導を見て頂くのも
大変興味深く、価値のあるものかもしれません。
どうぞお時間があり、興味がある方はご来場下さいませ。
僕たちはその公開録音に向けて一つの形にできるよう
一生懸命練習をしていきたいと思います。
(でもやっぱり時間もないのでなかなか大変です・・・)
練習後、新メンバー・中村先生とおでんを食べる
現在、VoxMEAでは11月1日に控えた新香山中学校での招待演奏に向けた練習をしています。
ジョイントコンサートやコンクールで自分たちの全力を尽くした後ですが、新しいメンバーが加わったこともあり、活気のある練習ができることは何よりです。

女声合唱の練習風景。中学校の招待演奏なので、なじみのある曲を中心に練習しています。
広いジャンルの曲をいっぺんに歌うので、曲ごとの気持ちの切り替えが結構大変。
練習後、ボイトレに来ていただいた中村先生と晩ご飯を食べに。
ダイニングバーでおでんを食べるという、おしゃれなお店でした。先日の披露宴2次会で中村先生からお誘いを受け、少人数でしっぽりとお話をするところ、ということでここにしたのですが、結局10名と結構な数が集まりました。

練習後の様子。新メンバーが3名も参加してくれたため、
図らずも新人歓迎会っぽくなっています。
宴もたけなわになった頃、中村先生(独身)から『重大なお知らせがあります』とのこと。
勘違いしたメンバーは色めきたちましたが残念、そっちのお知らせではなく、中村先生が構想中の一大イベントに関するお知らせとお誘いでした。
そのイベントにVoxMEAがどうやって関わるかは、まだこれからのことです。ただ、中村先生が持つ音楽をすることへの動機・価値観から、行き着いたイベントだなということはひしひしと伝わってきました。もちろん、お客さんや演奏者にとって非常に魅力的なものになることは間違いないと思います。
普通の練習後の飲み会でしたが、中身はなかなかに充実していました。
日々の練習で合唱を楽しむのはもちろんですが、こういう音楽を通じた新たな出会いがあったり、活動の新たな展開がみえたりすることでも“合唱やってて良かったなー”と感じるんだな、とあらためて思いました。

〆のおでんだし茶漬け。美味しかったです。
新しい音楽を満喫中
コンクール県大会後、モチベーションが低下することなく
むしろ、新しくかつ強力な団員たちをむかい入れて、
コンクールの時よりも明るく、楽しく音楽に
取り組んでいるような気がします。
本音を言えば、明日・明後日の中部大会に向けて
しのぎを削るような戦いができるよう
厳しい練習を積んでいたかったのですが・・・
まあ、新しい音楽に触れて、色々な音楽の楽しさに
触れることも、それはそれで幸せなことです。
何が原因かは分かりませんが、コンクール後のほうが
明るく、楽しく、しかも集中力のある大変いい雰囲気の中で
音楽を進められています。
もちろん、コンクールの敗退を受けて、自分自身および合唱団の
課題を真摯に受け止めて、丁寧かつきっちりと
合唱団の音楽と響きを創っているところです。
来週は、大変大きな本番がありますが、合唱団みんなで
高いモチベーションで、一部の人は酔っぱらい状態で
臨んで、高らかに歌いたいと思います!!
"meets"×VoxMEA 合同合宿
いよいよ今月末となったジョイントコンサートに向け、
ギター・マンドリン合奏団”meets”さんと合同の合宿を行いました。
良い環境に恵まれた合宿場で、天候も良く最高の練習をすることができました。
詳細は、練習にお越しいただいた中村先生がブログにアップして
いただいているので、ぜひそちらをご覧ください。