2010 G1:Ne timeas, Maria の背景 (3)

“Ne timeas, Maria” の解説をしているサイトが無いかとずっと探していたんですが、全然無いんですね。唯一見つけたサイトは英語でした(涙)。頑張って翻訳したので、ヘボいのを見逃していただき、間違っていたら優しく突っ込んでいただけると助かります。
http://www.answers.com/topic/ne-timeas-maria-motet-for-4-voicesの訳
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天使に触れられることは素晴らしいという20世紀のイメージとは逆に、聖書では天使の訪問は恐怖を想起させました。しばしば、天使は最初に「怖がらないでください!」と言ったに違いません。だから、乙女マリアの前に現れた大天使ガブリエルは “Ne timeas, Maria.” と話し始めます。
このルカ書(1:30-32)による詞はマリアへのお告げの祝日(3月25日)に、第2晩鐘のための応答歌として、カトリック教徒の礼拝式を誇らしげに飾ります。この詞はトマス・ルイス・デ・ビクトリアの最初のモテット集(1572)で喜びに満ちた4声の曲として公表されました。
この典型的な対抗改革期の作曲家は、1605年のレクイエムやテネブレレスポンソリウムに見られるように、深いカトリック信仰・純潔性への献身・物悲しい響きで知られています。しかし、このモテットは違った角度でこの作曲家を照らしています。彼はお祝いの名目として受胎告知を扱いました。彼は明るいイオニアンスケール(Cメジャーに変換されている)をこの曲に選んでいます。この調は他に “Missa Trahe Me, Post Te” しか使われていません。初めの句では、8声の “Ave Maria” のように、最高位の声部の “Ne timeas” がグレゴリオ唱歌の上昇表現を引用しています(この4度の上昇はこのモテットの中ではしばしば出てきます)。
この作品の約3分の2に達した場面で、すべての声部が半終止になり、全休止となります。そして詞の続きで、天使がマリアのお腹の子は「いと高きお方の御子」と啓示する際に、強い色彩の和音の入りから直接モテットの頂点に導かれます。
“altissimi”では、各声は高い音への跳躍をします。ソプラノでは、この跳躍は4度の一般的なものから5度に広がり、そしてこの作品中の最も高い音程に到達します。この表現は一般的な手段かもしれませんが、ビクトリアの手によっては、ソプラノは最後のカデンツに向けて徐々に緊張感からの開放が続き、生き生きとしたアーチをお祝いのモテットに与える下3声の中で次第に消えていきます。
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技術的な内容が入った文章を翻訳するのは本当に難しいです。読み手に対して『この人は書き手の伝えたいことを理解しているんだ』と思わせるくらいの、読む力も書く力も不足した文章ですが、まあ頑張ったのでヘボいのを(以下略)。訳していたなかで色々と調べ物をしたのですが、そこで分かったことを紹介したいと思います。
・訳していて分かったこと、その①
イオニアンスケールを知りませんでした。検索すると色々出てきますが、元は教会旋法のことです。教会旋法って、はるか昔に聞いたことがあったような気がするけど忘れてました。やっぱりWikipedia が詳しいです。これを読めば一部の方はアンコンでやった”Super flumina Babylonis”の終止形がなぜ『フリギア終止』っていうか良く分かります(知っとけば良かった)。というわけで参考ページです。以下のページを読んでおくとルネサンスがより楽しくなると思います。
教会旋法の基礎
http://www.mab.jpn.org/lib/exp/cmodes/basis.html
教会旋法(church mode)の試聴
http://www.animato-jp.net/~se/scale.html
・訳していて分かったこと、その②
半終止を調べていて面白いサイトを見つけました。半終止というのはWikipediaに書いてある通り“Vの和音(ソ・シ・レ)で終止するもの。ある程度の区切り感はあるが、終止感は全くない。小さな段落の終わりに用いられる。”という和音です。半終止かどうかを聞き分ける練習問題が音楽検定の4級にあるのですが、他の問題もあわせてけっこう面白いです。3級以上は練習問題が無いので分かりませんが、自分の音楽に対する理解力を楽しみながら向上させる良いきっかけになるのではと思います。

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