前回は、胸声~頭声をうまく繋いで歌うことを書きました。
この歌い方ってミックスボイスの出し方なんですよね。
ミックスボイス | Wikipedia
胸声の最高音域近辺では声門閉鎖が急に弱くなり、音色、音高ともに不安定になる。特に閉鎖がしっかりして呼気の少ない声で高音に移ると、閉鎖が弱まった瞬間に声帯の振動状態も急変し、声が裏返ってしまう。もし始めから閉鎖の弱い声で高音に移ったのであれば声の裏返りは起こりにくい。それを意識的に行い、息を多く流したり、柔らかく軽めの声を用いるなどで過剰な声門閉鎖を避けて歌うのがミックスボイス(ヴワ・ミクスト)の典型である。
この出し方で出された音は、おそらく弱々しい音になると思います。なので、合唱ではこの音に響きを加えることが必要になります。
■響きを付ける
音に響きを付けるやり方は簡単に書くと以下の流れです。
・ハミングをする
・ハミングを出した響きで音を出す
これは以前、胸声を出すで書いた内容なんですが、これが出来るようになるのは本当に難しいです。私も奥さんを教えていて痛感しました(笑)。
ここで付ける響きがイマイチだと、胸声・頭声を分けた歌い方をしたほうがましな響きになったりします。今回はハミングで響きを付けるやり方と、ハミングの響きを音にするやり方に分けて書いていこうと思います。
■ハミングのやり方
響かせるのは図で示した箇所、軟口蓋です。ここを十分に響かせる方法を、順序をおって解説します。
・姿勢
脱力して、腹式呼吸を強く意識しましょう。
・口の形
口の中は「ア」とか「オ」を出す形で、唇をすぼませることで口を閉じます。よく「卵を飲み込んだ」ような口の形と例えられますが、あまり広げすぎると顎が力んでしまうので、力まない程度に口の中を開けましょう。
・響かせる
軟口蓋を上げ、ミックスボイスの息の流れで、適当に何か音を出しましょう。無理のない地声の音や、ファルセットのような高音が良いです。その状態で鼻を少しつまんでみて、軟口蓋が響いていることを確認しましょう。
*ここで十分に軟口蓋の響きを付けることが重要です。
■音を出す
ハミングで軟口蓋を響かせたまま、少しずつ、すぼませた口を開けていきます。この時に軟口蓋の響きを保たせることが重要です。母音の出し方で書いたとおり、何かしらの母音になると思います。
ここで、「声」ではなく「音」にすることを強く意識しましょう。「ア」とか「オ」の口にしようとすると、あっという間に響きが失われてしまいます。
■最後に
…響きについて文字で説明することは難しいです。ハミングなんて当たり前のようにできる人がほとんどだと思いますが、本当に『響きの入った』状態になるのには、かなり時間がかかるんです。
これは軟口蓋を最初から十分に響かせることが出来ないのが理由で、奥さんの場合、トレーニングしてから十分に響かせるまで20~30分かかっています。軟口蓋は響かせることで、ストレッチされて響きが増します。なので、軟口蓋の響きが足りていない人は、日頃からハミング練習をすると良いです。地声も響きののった、良い声になりますよ。